
ライナーノーツ
照
「知らズ知らず2021」
協力
知らズ知らず2021
演り人知らズ
強い信念というのは、芸術家にとって、なくてはならないものなのだ。
演り人知らズ企画展示「知らズ知らず2021」にて、製作中止となった演り人知らズ2021初夏シーズンのゲストクリエイターであったこ とからご協力を頂いた照氏に寄稿頂きました。内側から創作に携わったからこそ覗き返すことができる、作品をより深掘りするためのライナーノーツです。
June, 2021

断念。ゲストクリエイターとして、演り人知らズさんでの製作を中止したのは、今回の初夏シーズン2021で二度目となる。理由はどちらも、この禍中によるものだ。断念。二つの文字が、幾度となく脳をよぎる。ここまで苦しい、やるか、やらないかの選択を迫られたことはない。そして、禍中に立たされて初めて、自分が、この状況において、やらないを選択する人間だということを、知った。しかし決してそれを恥とは思わない。むしろ、禍中によって生み出されたこの信念を大事にしてやろうとすら思う。強い信念というのは、芸術家にとって、なくてはならないものなのだ。演り人知らズさんからも、自分とはまた違う、信念の強さを感じる。禍中に立たされてもなお、創造の場として、人々に寄り添おうとしている。知らズ知らず2021という企画こそ、まさにその信念の強さを表明している。

自分も、微力ながらもお手伝いをさせてもらいながら、その創作の場を体感したが、正直、ただでは転ばないぞとばかりに、ここまで形を変えながらも抗う姿に、少しばかり驚いていた。芸術の形はひとつではないんだと、改めて思い知らされた。特に、メインでもある"クリエイターの脳内を覗かせる"という展示は自分好みでもあり、嗚呼、これはこの状況でなければ産み出されなかった、この状況だからこそ産み出すべきものなのかもしれない、と、心が躍った。
やらないを選択するばかりで、吐き出せない創作欲をどうしようもなく腐らせてしまいそうな自分にとって、知らズ知らず2021という場は、一縷の望みを与えてくれた、そんな気がする。
照
なんだかんだクレイジー