吉川なの葉
2019秋-2020新春シーズン
ゲストクリエイター
演り人インタビュー
吉川なの葉
『煙草とguyについて』作・演出
そんなに身体が動くのかはわからない。言葉で担っても身体の動きとかは絶対出ちゃう。その言葉との関係は大事にしたい。
2019秋-2020新春シーズンの新作は、ダンサーでデザイナーの吉川なの葉氏がゲストクリエイターとして作・演出を担います。自らの戯曲を自身で演出するのは初めてというなかで、意気込みを伺いました。(聞き手:紺野)
May 26, 2019
―意気込みを教えてください。
創るものはダンス作品ではないものにしたいなと思っています。(演り人知らズを)知ったときは、ペレイラ(注:FOペレイラ宏一朗「シュガー、ミルク、スプーン、カップ、コーヒー、ダーリン」)が書いているのを観たかったというのがあったので観に来たんですけど、昔から短編の戯曲とか書いていたので、いい加減形にしたものを自分でやらなきゃ、みたいなのはあって。でも、誰かに言ってもらわないと私は自分では創らないつもりだったので。最近、踊る時間が増えたりもして、ちょっともう踊りでやることが限界に来つつあるというか、まだ新しいことが思いついていないので、一回やったことないことをしてしまってから考えようと思って。だから今回はじめて団体名「ニューイット」という名前で作品を出すという形をとって、むりやり新しいのを創るって自分に言い聞かせて、テキストも書いて。それに身体がどう担ってくるのかまだ全然想像ついてないんですけど、テキストをちゃんと使ってみる、書いてみるみたいなことをやってみたいなとなりました。
シュガー、ミルク、スプーン、カップ、コーヒー、ダーリン|2018|ユースクエアにて
―言葉も発するし、身体も動かすし、というような作品になると。
なんなら言葉の方が比重はたぶん大きいと思う。そんなに身体が動くのかはわからない。言葉で担っても身体の動きとかは絶対出ちゃう。その言葉との関係は大事にしたい。オーソドックスなテキストの書き方もやってみて、それがちゃんと消化できるのかもやってみたい。テーマはまだ決まってないんですけど、出る役者さんと一緒にやりやすい形を決められたらと思っていて。私もはじめてやるので、役者さんと直接話をしながら、「この言葉とかテーマやりにくい」となったら変えたいし。テーマが重すぎるとやりたくない人が出て、嫌なんです。私が興味あることはそうだけど、相手も興味あることの方が身体も出やすいし、言葉も出やすいだろうし。ちょっとまだ相談中です。
2019秋-2020新春シーズンのゲストクリエイター(左端が吉川氏)
―見どころは。
私が書いたテキストというのにどういう印象をもたれるのかすごく興味がある。書いた戯曲を発表してもらったことも1回あるけれど、その戯曲の批評が、わりと書いたもの全部が「文字が踊っている」という言い方をされて。私はそんなこと思ったこともないし、たぶん踊る人だからこう言ってあげようという気遣いもあったんですけど。でもたぶん文字に対するリズム感はあるし、前書いた戯曲とかもひたすら同じ音を何時間も聞きながら歌詞を書いていくみたいな形で書いたこともあって。ただそれを自分でちゃんと創ってみたことがなくて。他の人に演出してもらったときも、完全にラップでつくったんです。五七五で、流れがちゃんとある。口が勝手に開く言葉にするようにして、だんだん身体が開いていくのを想定していたんですけど、まあ演出には言ってないので。身体の動きとか、ちゃんとそれで大きな声が出る仕掛けとか考えて創るのはやったことあるけど、自分で演出してそれを実現したことがないので、ちゃんとそれを一緒にやる役者さんとできたら面白いテキストに、自分が興味のあるテキストになるのかなと思います。
吉川なの葉
ナゴコン|ニューイット
ダンサー。デザイナー。名古屋のコンテンポラリーダンスシーンを盛り上げようと活動するナゴコンのメンバー。ダンス作品ではないテキストを大事にした作品を作るという目的で、個人企画「ニューイット」を作る。
公演概要
演り人知らズ
2019秋-2020新春シーズン
煙草とguyについて
作・演出 吉川なの葉(ナゴコン|ニューイット)
2020年
2.14fry-16sun
AHAアトリエ・ギャラリー
キャスト
松竹亭ごみ箱(afterimage)|吉川なの葉(ナゴコン|ニューイット)